2026.06.26

社長ブログ

『江戸っ子母ちゃん ーママフラメンコ編ー』

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WRITER石山 登啓

-わくわく新聞 2023年10月号コラムより―

 

うららかな春日和の5月の連休に、東京で同窓会があり、

中学時代の友達と都内をドライブしていた。

 

東京は母ちゃんの故郷。

僕が小さいころに連れて行ってもらった、

風車を飾ったお地蔵さんが並ぶ増上寺の前を、通りかかった時に、携帯が鳴った。

お地蔵様のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

 

「兄ちゃん、何してるの?

 早く帰って来て!

 お母ちゃんが救急車で運ばれたよ!」

 

「え、なんで?

 昨日も母ちゃんとしゃべったよ・・・」 

 

病院の先生からもお電話を頂き、病院に駆け付けた。

「残念ですが、本日が峠です。」

そんなTVでしか聞いたことのないセリフ、本当に言われるん?

 

「えっ先生、分らん分らん!

 なんで死ぬんですか?

 今、母に死なれたら困ります。

 僕まだ、ゴメンも感謝も言えてない。

 先生少しでもいいので、何とかなりませんか?」

言っていることが無茶苦茶だった。

驚いている男の子のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

 

「先生せめて、せめても家族に合わせてやってください」

日付は5月8日。

大流行した、コロナが2類から5類に変わったちょうどその日だった。

それまでは、面会すら許されなかった家族。

これぞ不幸中の幸い。

 

病院としては長い鎖国がようやく明けた日本が、異国人を見るような衝撃。

嫁と娘三人、弟、やかましい&落ち着きのない石山家族の声だけが病院にこだまする。 

 

僕は、介護施設に預けている父を迎えに行き、すぐ病院へ向かった。

病室では、酸素マスクを付け、意識もうろうの母ちゃん。

父ちゃんは、横たわる母ちゃんを見るなり、

車いすをベットに近づけ、手を握りながらしゃべりだした。

助ける 手を握るイラスト|無料イラスト・フリー素材なら「イラストAC」

 

「お母ちゃん、今までありがとう。

 お父ちゃんと結婚してくれてありがとう。

 いい三人の子供にも恵まれたし、本当にありがとう。

 お父ちゃんは幸せだったよ。」

 

父ちゃんが大声で泣きだした。

姉ちゃんが亡くなった時も、僕たちに涙を見せた事ない、あの父ちゃんが大声で泣くのだった。

 

「お母ちゃんなんで、お父ちゃんより先に死ぬんだ?

 お父ちゃんは悲しいよ。」

うな垂れる父ちゃん。静かな時間が流れる。

 

「お母ちゃん、生まれ変わっても一緒になろうな?」

映画なら感動のシーン。

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それまで意識もうとうとしていた母ちゃんが突然、口を開いた。

「嫌よ!誰がアンタなんかと!」

 

どっかーん!

 

病室割れんばかりの笑いが起きた。

母ちゃん最後まで粋だった。

 

バツが悪くなった父ちゃんは突然母ちゃんに接吻(キス)をした。

母ちゃんは、父ちゃんの接吻のおかげ!?で、

奇跡的にも意識を取り戻した。

白雪姫かと思った!

「いや、思わんか。」

 

息子49歳、初めて接吻する両親を見てちょっとセンチメンタル。

それから、母ちゃんは、奇跡的にも穏やかな状態が続き、

その間、色んな人にお見舞いに来てもらった、

 

が!!

約一か月後6月10日の朝に、帰らぬ人となった。 

 

戦後の東京を生き抜いた人。

独身貴族を満喫した人。

駆け落ちした人。

家族の為に身を粉にしてくれた人。

人様を笑顔にする人。

温かい人。

それが僕の母です。 

 

病院から葬儀場に向かうまで、霊柩車で白浜を一周してもらった。

僕たちが育った社宅の跡地。

毎日遊んだ白良浜。

3人乗りの自転車で散歩した江津良浜。

姉が交通事故した場所。

お世話になった“きたえるーむ”。

屋根にシーサーがいる我が家。

 

「母ちゃん家に帰って来たよ!」

懐かしい時間を過ごさせてもらった。

 

 

葬儀場に着いてから、僕が喪主をやる事になった。

早速、母ちゃんの戒名で一悶着。

葬儀屋さん曰く、

なんでも戒名(かいみょう)には、お値段があり、松竹梅があるのだと。

 

息子として、母ちゃんに「良くしてあげたい」気持ちと、

「でもお金がな!」と迷っている喪主に、

弟から素晴らしい提案!

 

リーズナブルな方の戒名は最後に“信女”がつくらしい!!

父ちゃんの名は“信一” 

信一の女=信女になる。

 

「父ちゃん生まれ変わっても、

 これで母ちゃんと一緒になれるよ!」

と、説明すると

「最高だ!」

と、父ちゃんご満悦。

リーズナブルな戒名の方に決定。 

バンザイをしている男の子のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

 

葬儀は大勢の方が、母ちゃんの為に参列くださった。

これもかあちゃんの人望だろう。

声をかけて下さる方みんなが、

おかんに何かし人生のアドバイスを頂いた人だった。

 

歯切れのいい江戸っ子弁で、

「あんたは、ホントに駄目ね!」って、

笑顔で言われるのが良かったと言ってくれた。

 

弟の同級生のたかちゃんは、転校してきて友達がいない時に、

おばちゃんが声をかけてくれて、

「いつも子供と対等でいてくれる大人だった」

と、言ってくれた。

 

息子として誇らしかった。 

 

 

告別式の後、母ちゃんと最後の別れをするときに、

棺に家族みんなで、お花をいれてあげた。

 

孫たちも泣きながら、おばあちゃんに花をいれてあげたが、

弟の息子の大悟(17歳)は、

「おばあちゃんは、バラが好きだった。」と、

何を思ったのか、

真っ赤なバラを母ちゃんの口にくわえさせたのだ。

いろいろな一輪のバラの花のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

 

「フラメンコか!!」

昔、父ちゃんが社員旅行のスペイン村で闘牛士のカッコをした記念写真を一人で撮ってきた事を思い出した。 

 

最後の出棺の時に、喪主の僕の隣にいる父ちゃんが突然みんなに話しだした。

「お母ちゃんに、生まれ変わったら一緒になろうと言ったら

 “いいよ”って言ってくれたんだ!!」

と笑顔で嘘を言った。

 

僕は母ちゃんが

「嫌よ!誰がアンタなんかと!」

断った話を面白がってみんなに言っていたので、

既にネタばれしていて、みんな笑ったが、

父ちゃん気にする事無く、

「お母ちゃん来世も一緒になれるな!!」

車いすで、誇らしげに、母の位牌を持つ、

父ちゃんが男としてカッコよかった。

 

石山侊世 享年89歳  戒名 嶺侊善導信女

 

そんな、母ちゃんと父ちゃんの物語でした。  

 

おしまい!!

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石山 登啓

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『お施主さまとは生涯のお付合い』だと思っております。人生で一番高い買い物。家の性能はもちろんですが、紀南地方は台風や雨・風が凄い地域。家を守る事と、お施主さま家族と人生の苦楽を共に生きる、生涯お付合いできる仲間を育てるのが私の使命だと勝手に思っております。家だけでなく、そんな暑苦しい会社ごとかってください!!

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