2026.09.29

社長ブログ

『父死す。』

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WRITER

WRITER石山 登啓

-わくわく新聞 2026年9,10月号コラムより―

 

父ちゃんの事書きます!!

 

時が流れ、父ちゃんが70歳を迎えた時のことです。

“駆け落ち生活34年”という途方もない年月を過ごしてきた思い出の社宅を、

いよいよ出なければならなくなりました。

 

そこで僕は一発奮起して中古物件を購入し、

フルリフォームを施しました。

両親へ、人生で初めて胸を張って贈る「親孝行」のプレゼントでした。

 

「のぶひろが建ててくれた家だ」

 

父ちゃんは、それはそれは顔をくしゃくしゃにして喜び、

近所の人や知り合いに会うたび自慢していました。

 

引っ越しの荷物を整理していると、

押し入れの奥から僕たちが子供の頃に遊んでいた古いおもちゃが

大切に保管されているのを見つけました。

父ちゃんは僕たち子どもとの思い出を何ひとつ捨てることなく、

すべてを宝物のように抱えて生きてきてくれていました。

おもちゃを片付けている子供のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

 

 

 

第二の人生がスタートした矢先、

父ちゃんがパーキンソン病を発症しました。

あんなに頑丈でたくましかった父ちゃんの体が少しずつ痩せていき、

腰が曲がり、足が思うように上がらなくなっていきました。

 

そのタイミングで、

高垣工務店が運営しているシニア向け運動施設「きたえるーむ」へ、

父ちゃんは母ちゃんと夫婦揃って通い始めました。

 

ここでも生真面目な父ちゃんはストイックにトレーニングに励みました。

スタッフたちも父ちゃんと母ちゃんのことを、

温かく寄り添ってくれたおかげで、

病状の進行をある程度食い止めることができました。

非常勤の私も研修に参加させていただきました! - ひがしまつやま寿苑の正社員・パート採用

 

何より僕の心を打ったのは、

体が自由にならなくなっても変わらなかった

「母ちゃんへの愛」です。

 

父ちゃんは現役時代から、

仕事から帰ると真っ先に掃除機をかけ、洗濯物を干し、夕食の片付けまでやる人でした。

 

パーキンソン病になってからもそのルーティーンを絶対にやめず、

「母ちゃんを支えられるのは自分しかいない」と言わんばかりに、

まるで映画『千と千尋の神隠し』に出てくる「かまじい」のように腰を直角に曲げながら、

一生懸命に家事をこなしていました。

男から見ても、本当に立派な父ちゃんでした。

 

 

しかし、3年前そんな大好きな母ちゃんが、

父ちゃんを残して先に天国へ旅立ってしまいました。

 

一番の心の支えを失ってしまった父ちゃん。

僕たち兄弟も仕事の都合があり、自宅で介護を続けることが難しく、

苦渋の決断として施設へ預けることになりました。

 

人生をかけて僕たちを育ててくれた父ちゃんを施設に入れることには、

申し訳なさや葛藤が僕の胸の中に強く渦巻いていました。

 

 

けれど、父ちゃんはやっぱり父ちゃん、

持ち前の生真面目さと明るさで、

施設に入居してからもすぐに人気者になりました。

 

行事には常に全力投球。

スタッフの方が送ってくださる写真には、

紙の魚釣り大会や節分の豆まきに、

誰よりも本気で挑んでいる父ちゃんの姿が写っていて、

僕たち家族は腹を抱えて大笑い。

 

 

その一方で、

パーキンソン病の影響で普段はちょこちょことしか歩けないはずなのに、

なんと施設を2日連続で「脱走」し、

僕が2日連続で呼び出しを食らうという前代未聞の事件も巻き起こしました。

 

現場を聞けば、

非常階段の手すりを右手で掴み、

左手にはなぜか車椅子を高く掲げて脱出を企てていたそうです。

 

父ちゃんに理由を聞くと、

まっすぐ「外に出たかった」と一言。

アメリカのテレビドラマ『プリズンブレイク』を彷彿させる脱出劇に、

息子として呆れつつも、

その衰えぬエネルギーと同じ血が流れてる事に、

嬉しいような、悲しいようなそんな気持ち!

 

 

そんな破天荒で愛すべき父ちゃんが、

実は1年半ほど前にも僕たち兄弟を驚かせる事件勃発。

 

ある日、父ちゃんが僕と弟を呼び出し、

「お前たちに、大事な話がある」

と、僕と弟を正座させました。

 

正座させられるなんて昔から怒られる時と決まっていたので身構えていると、

父ちゃんが唐突に切り出した。

怒る男性のイラスト(5段階) | かわいいフリー素材集 いらすとや

 

「今も、お母ちゃんが世界で一番大好きな人だが……。

 新しい人が出来てもいいか?」

 

一瞬、何を言っているのか意味がわかりませんでした。

 

弟が

「お父ちゃん、

 それって……再婚?」

と聞くと、

父ちゃんはどこか遠くを見る目。

 

母ちゃん一筋だった父ちゃんから

他の女性の話が出てくるなんて夢にも思わず、

言葉が出ませんでした。

 

度量のある弟は

「父ちゃんの人生なんだから全然いいよ!」

と、返していましたが

(後で聞いたら『ボケたこと言ってるから合わせただけ(笑)とのこと)、

気になった僕は後日、

施設の方に真相を確かめました。

 

「先日、父ちゃんが

 新しい人ができたと言っていたのですが……」

100kmウォークをリタイアする5つの理由とは?その対処法をご紹介 | あそびのずかん

 

するとスタッフさんが、

「あぁ、ヘルパーさんに

 お手紙を渡された件ですね」

と、教えてくれました。

 

なんと父ちゃん、

綺麗なスタッフのお姉さんに“恋文”と直球のタイトルを添えた熱烈なお手紙を手渡していたのです!

ラブレターを渡す男の子のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

 

「あなたのことを思うと夜も眠れない」

という熱い内容で、

唯一の趣味だった俳句の五・七・五のリズムが

まさかこんなところで小粋なビートを奏でるとは思いませんでした(笑)

 

しかもそのスタッフさんが夜勤の日はナースコールが増えていたらしく、

「眠れない夜」もちゃっかり活用していました。

 

子どもとして預けた申し訳なさもありましたが、

素敵なスタッフさん達に囲まれ、

完全な片思いとはいえ胸をときめかせ、

人生を楽しんでいる父ちゃんの姿は、

息子としてどこか微笑ましく、救われる思いでした。 

 

 

そんな破天荒で愛すべき父ちゃんもついに病には勝てず、

令和8年(2026年)5月30日、

施設で静かに息を引き取りました。

 

88歳でした。

 

奇しくもこの日は、

44年前に亡くなった姉ちゃんと同じ「命日」でした。

 

父ちゃんのお通夜の日は激しい台風でした。

家族だけで静かに見送りましたが、

最後の最後まですさまじい「嵐を呼ぶ男」らしい幕引きでした。

 

今頃、

天国で大好きな母ちゃんと久しぶりに姉ちゃんに

再会できているでしょうか。

 

家族水入らずで賑やかに過ごせていたら、

遺された僕たちもこれ以上の幸せはありません。

 

 

生前、

「生まれ変わってもまた一緒になろうね」

と、約束していた母ちゃんと合流して、

また父ちゃん得意の「押しの一手」で楽しいひとときを過ごしていることを願っています。

 

 

「天国のお母ちゃんへ 

 お元気ですか?

 あなたの旦那さん、もうそっちに着きましたか?

 行く直前までノリノリで婚活しておりましたよ。

 それではまた、お便りします。

 お母ちゃんへ 

 by のぶひろ」

 

 

父ちゃん、

長い人生を家族の為に生きてくれてありがとう。

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石山 登啓

スタッフ紹介へ

『お施主さまとは生涯のお付合い』だと思っております。人生で一番高い買い物。家の性能はもちろんですが、紀南地方は台風や雨・風が凄い地域。家を守る事と、お施主さま家族と人生の苦楽を共に生きる、生涯お付合いできる仲間を育てるのが私の使命だと勝手に思っております。家だけでなく、そんな暑苦しい会社ごとかってください!!

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