『え〜！！入社面接に母ちゃん同伴』

-弟子入り編-

皆さんこんにちは、早速、前回からの続き！ちょうど、僕が高垣工務店の入社面談から、親方の元で大工修行、営業マンになるまでを書きます。

川口親方の紹介で、高垣工務店社長に面談して頂ける事となったが、、なぜか、親を同伴で！僕、有名幼稚園に通った事もなかったので、親が入社の条件になる仕組みが理解でないまま、母ちゃんと会社に行った。高垣社長と事務員で社長の叔母にあたる“ヒロちゃん”が面談して下さった。社長は当時、３５歳の若さでした。6年前にお父様が亡くなって、２９歳の若さで社長になられて高垣工務店を切り盛りしていた。寡黙な、細身の体なのに、貫禄のある人でした。僕と社長の面談なのに、７割母ちゃんが僕の事を喋って、８割“ヒロちゃん”が応え、「ほな、頑張っていこーかー」２人意気投合して僕の入社が決まった。唯一社長から『会社に希望する事あるか？』の質問に、「将来、独立して工務店をやりたいです。」全盛期の沢尻エリカばりの生意気さで言ってみた。

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今考えると、世間知らずって怖いです。社長は、『わしは、将来、自分が育てたスタッフがライバルになるのが楽しみだ』と言ってくださった。ここから僕の高垣人生が始まる！入社、初日から、希望通り僕は川口親方の元で、大工修行。

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親方に最初にかけられた言葉「今日から、ワシはお前とは口をきかん。わしの親方もそうやったから、お前にもそうする。」「これが技を見て盗めって事か！！」と大工の世界に踏み入れた事に嬉しく思ったが・・・全然、思っていたのと違っていた。本当に喋ってくれない。毎日の会話は、「おはようございます。」も無視された。10時と１５時の「一服にするぞ」と昼の「飯にするぞ」と5時半に「おけよ（仕事を終われの意）」本当にこれだけの会話。どんだけ冷え切った夫婦でももっと会話するぞ！って思うぐらい会話が無かった。この親方と弟子の関係性を、僕はこれを新しい愛の形なのだ！と思いたかったからなのか『放置プレイ』とネーミングした。だから、親方と会話するのは緊張する。わざわざ練習してから、喋りかけに行った。一度、緊張しすぎて親方の事を「お母さん」と言い間違ってしまい、まだしも、突っ込んでくれたら笑って誤魔化せるのに、ツッコまれる事もなく、気まずい空気だけが流れた。石の上にも三年。意地で3年続けたが、さすがに「放置プレイ」に不安を感じてきた。仕事を任されない、認めてももらえない、喋ってもらえない、自分の存在価値に疑問を感じてきた。あんなに好きだった、静岡の大工時代の仲間や先輩と話すのも嫌だった。自分が惨めに思えてきた。親方に、「俺って必要ですか？」初めて真っ向から体当たりの覚悟で、ノコギリを引く親方に尋ねてみた。チラッと僕を見ただけで、そのままノコギリを引き続けた。放置プレイ継続中。人生にリセットボタンがあったら、当時の僕は一秒間に１６回押せる自信があるくらい、自己肯定感ゼロの人間でした。

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そんなある日、社長がわざわざ、現場まで僕を訪ねてきてくれた。「今日はお前に折り入ってお願いがある。これからの時代、工務店は今までどおり腕のいい大工さんがいるだけでは、やっていけない時代が来る。工務店も営業をやらねばいけない時代が来る。どうだ石山、お前が高垣工務店の営業マンにならないか？頼めるのはお前しかいないんだ！」「社長俺やりますよ！」即答だった。人から必要とされたかった自分には、社長の「頼めるのはお前しかいない」が無茶苦茶嬉しかった。学生時代、将来なりたくない仕事ランキング、僕の第一位はぶっちぎりで“営業マン”だった。ネクタイを頭にして酔っ払っているイメージしかなかった。腕のいい大工を目指していた時代には考えられない事でしたが、やるんだったらとことん上を目指してやろうと思いました。しかし、ここまで育てて頂いた親方には言いづらかったが、『社長に呼ばれたので、会社の方で働きます』と報告させて頂きました。どことなく親方も寂しそうだったと思います。が、親方らしく、そのまま「放置プレイ」の状態で親方の元を離れました。今となっては、親方の優しさが凄くわかります。それまでは、お客様のおうちからおうちが、現場であり、職場だった。これからは、高垣工務店が僕の職場になる。当たり前ですが、会社員として会社に通う。出社の初日、作業着に作業靴をはいてきた僕に社長が怒った。「ちゃんとスーツを着てこい。」「僕スーツ持ってないんですけど」そんな僕を見かねて、社長がオークワの商品券をくれた。

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